1年弱のロンドン生活から日本に帰国。場所は変わっても相変わらずのマイペース。日々の生活で感じた小さな幸せを綴っていきます。


by mokomoko-chan
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Das Leben der Anderen

 1989年のベルリンの壁崩壊は、当時小学生だった私が初めて世界を強く意識した出来事でした。おびただしいフラッシュの中、クラクションを鳴らしながら歓声を上げてブランデンブルグ門をくぐる自動車の列。塀の上に肩を組んで謳い、我先にとハンマーで壁を壊す群集。それはあまりにも鮮烈な印象を私に与え、同時に鉄のカーテンの向こうには豊かさと自由がない灰色の世界が広がっていたことを知った瞬間でもありました。
 冷戦を終結させた人々の結束力は今でも胸を熱くさせ、その後いくつかの書籍や当時を扱った映画を観たり、中欧・東欧を旅することで少ないながらも見識を深めてきました。BBC20世紀クロニクル(Vol3)でも冷戦時代の終結へと向かうヨーロッパの動向を当時のBBCニュースから知ることができます。

f0048134_10124662.jpg そして今日観てきたのが灰色の世界での日常をつづった善き人のためのソナタ(原題:Das Leben der Anderen)。ロンドン在住中に封切られ関心がありつつも、音声がドイツ語&サブタイトルが英語というのに加え、戦時中独特の表現を英語で完璧に理解する自信がなかったので、日本に帰国してから見てみようと思っていた作品です。2007年度アカデミー外国語映画賞にも輝いています。

 徹底的なシュタージによる監視下に置かれた1980年代の東ドイツが舞台。隣人はおろか親兄弟さえも信じられない疑心感が渦巻く時代での、劇作家と舞台女優、そして彼らの生活を監視するシュタージ局員の物語。主演の局員を演じている東ドイツ出身のミューエは自身もシュタージに監視された過去を持ち、感情をあまり表に出さないヴィースラー役を見事に演じています。ストーリーはただ静かに流れ、希望を捨てずに生きる人達の姿も胸の痛む事件。最後の1分半で泣ける映画。(←おすぎ風) 決して万人向けの作品ではありませんが、じわりと胸にこみ上げる刹那さは秋の夜長にはいいかもしれませんね。



 続けて2本目はオランダ映画のBLACK NOTE(原題:ZWARTBOEK)。第2次戦時下のオランダで、カリス・ファン・ハウテン演じるユダヤ人女性がナチスへの復讐を誓い、セバスチャン・ゴッホ演じるドイツ人将校ムンツェとの愛に落ちながらも生き抜いていく話です。アウシュビッツでヨーロッパ各地でのユダヤ人虐殺を見た記憶が蘇ります。あの時代の人間の狂気の沙汰とそれに立ち向かうユダヤ人の生への執着を対比すると、どちらが人間性にあふれていたかというのは聞くまでもないですね。

 オランダ映画史上、最高の制作費をかけたという大作だけにオランダ人俳優たちの気持ちはとても伝わってくるのですが、欲を言うと長い・・・。結末が「そうくるのか」というストーリーだったのでまあ許せるものの、途中ランチに外に出たとは言え1本目と合わせて4時間半座ると腰にきます(涙) 家でごろごろしながら観るのがいい映画かもしれません。個人的には"善き人の~"の方が好みですが、そちらで劇作家ドライマンを演じたセバスチャン・ゴッホがこの映画でこれまた渋い演技をしているので、彼の演技を比較するには面白いかもしれません。

 観に行った映画館は近くの早稲田松竹。あるテーマごとにシーズン遅れの2本立て上映をしていて大人なら¥1,300で愉しめます。ロンドンのPrince's Charls Cinemaみたいな感じですね。ちなみに今回のテーマは"旋律と戦慄"でした。

 ここは大学生の頃、授業の合間や彼氏の実験を待っている時とかによく1人でぷらっときて時間つぶしによく利用していて、一時外出可能なので入り口で一時外出カードをもらい近くのカフェでのんびり休憩したりと1日映画漬けになるにはもってこいの場所。高田馬場も以前に比べてちょっと小奇麗なお店もちらほら見かけるし、昔は手の甲に一時外出スタンプだったのを考えると、ここにも小さな改革が見受けられます。
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by mokomoko-chan | 2007-09-13 23:23 | Daily Life